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携帯の呼び出し音に耳を傾けていると少しは不安が安らいだ。幹明は幸世を頼り切っていた。
「姉さん……俺、とんでもないことやっちまった……」
携帯が繋がった途端、涙が溢れ出した。
幸世が厳しく言う。
「話せ」
「喧嘩してたら、その隙に火李奈が攫われた」
「どんなヤツにだ?」
「青ローブを着ていた」
幸世が絶句する。少し間が空いてから、説明し出した。
「それはサウシャーロン教団の1人だ。おそらく喧嘩をふっかけてきた相手も教団の1人だろう。お前は罠にかかったのだ」
幹明は大声で怒鳴った。
「サウシャーロン教団だか何だか知らないけど、火李奈は無事なんだろうな?!姉さん、なんで、外に行けば狙われるなんて大切なこと教えてくれなかったんだ?!」
幸世がポツリと呟く。
「伊神篤志」
幸世には珍しく悔し気な様子だ。
「ヤツはもう魔力を持っていないはずだった。それが何故?」
「俺に分かる訳ねえだろ?」
喫茶店で待ち合わせだ、と幸世が言った。名木沢喫茶店はかなり待ち合わせにはベターな場所だった。
遊園地から徒歩で30分程かかる。それでも、幸世より先に幹明が辿り着いた。
アンティークなムードの中、1人ソワソワとホットココアに口を付ける。あまり、1人には慣れていなかったし、1人の時間を楽しむ余裕の欠片もなかった。
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