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「姉さん、化物なんだろ?そう簡単に死なないんだろ?」
幹明は困惑していた。
「俺はアンタの弱々しい姿など見たくない」
それに、と付け足す。
「姉さん、言ったじゃねえか!自分は邪神の助太刀人で邪神は女の方が美しいから女でいるって」
幸世は軽く幹明の頭をポンポンと叩いた。
「真に受けたら面白いと思って言っただけだ。そして、義理の姉の線も嘘である」
幹明は幸世をまじまじと見つめた。まるで何年も付き添って来た人が幽霊だったかのように背後寒い。
「アンタ、誰?何故俺を助けようとする?」
「サウシャーロンからの命令でお前の世話をすることになった。ただの居候と言っただろ?それが真実だ」
幹明の頭の中で言葉がパンクしそうになる。俺、サウシャーロンという人物に何か施したか?
幸世は驚くべき事柄を更に口にした。
「私はサウシャーロンの絵画の人物だ」
一瞬、時が止まったように感じた。喫茶店のオーダーを呼ぶ声が妙に生々しい。
「サウシャーロンは本物の魔術師なんだな?何故俺を守ろうとする?」
幸世は幹明の問いを無視した。
「あの黄金の石は神の涙と呼ばれている。あの石を失くした日、サウシャーロンは水中で密閉された棺桶の中から脱出するのに失敗した。どんな力を持っていても傲慢は人を殺す」
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