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アルトは生まれつき身体が弱かった。それが呪いのせいなのか、判別できない。
働くことが不可能なアルト。レイラは出来れば仕送りしたいが、自身の生活で精いっぱいだった。
「だけど、兄さん腹減ってるだろ?」
「空いてないよ。俺は大丈夫だから」
「本当か?」
「本当」
「……なら、食べる」
アルトは兄の部屋を出て食卓に座る。小さなパンをちぎり齧る。
固いパンは噛むのが大変だ。もごもごと口を動かしながらアルトは食事を終えた。
レンは横になり目を瞑る。自分はいつまで生きていられるのか。
長くないのは分かっていた。でも、後一年は持ってほしい。
アルトの成長を見守っていたい。
若くして亡くなった父との約束だからだ。
『アルトを守ってくれ』
呪いに侵され満足に動く事が出来ない自分だが、出来る事はしたい。
静かにレンの意識は沈んでいく。眠りの神ナイトメアの誘いに乗りレンは眠りにつく。
アルトはもう一度家から出た。
街には先ほど行った為、今度は森の中を散策するのだ。
森の中をアルトは歩く。
木の幹に生えているキノコを採る。
「毒キノコじゃないし、大丈夫だよな」
茶色いキノコ、白いキノコ。
それは食用だと学んだため選んで採っていく。青色のキノコは幻覚症状が出るサイキスという名のキノコだ。
アルトは名前は知らないが、食べて覚えた。
「お、薬草もあるじゃねぇか」
赤い花は蜜は蜂蜜の代わりになるぐらい甘く葉は薬になる。根っこは油で揚げると東洋のお菓子かりんとうになる。
名はハニードロップという。
「ふー。疲れた身体には甘いもんが一番だ」
こくこくとのどを潤すように蜜を飲み、葉を千切る。
「薬草を飲めば兄さんの身体は良くなる」
兄が床に臥せているのは病だと信じていた。
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