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両手にキノコと薬草を抱え家に戻る。
ダイニングテーブルにキノコ達を乗せアルトは椅子に座り薬草を葉巻状態にする。
二葉ほどの薬草を葉巻状態にし次はキノコに手を伸ばした。
パクリとそのまま口にする。白いキノコは甘みがあるが、茶色いキノコは苦い。
「苦い……。けど、わがままは言ってられねぇな」
そうぼやきつつもアルトは二つのキノコを食べ終え兄の部屋へ向かった。
「兄さん?」
呼びかけても返答がなく不安になり兄が眠っているベッドによじ登る。
穏やかな寝息を立てている兄の姿に安堵の息をアルトは零した。
「起きたら薬飲めよ」
枕横にキノコと薬草を置いてアルトは兄の部屋を出た。
自室に戻り窓を開ける。綺麗な星空だ。
「……星が、綺麗だ」
小さな手を伸ばして星を掴もうと握る。当然だが、掴めるはずがなかった。
けど、アルトは掴むように何度もなんども手を握る。
月が真上に昇る。それを合図にアルトは窓を閉めてベッドに入った。
ころんとアルトが寝転がるとネックレスが服の中から姿を現す。
父の形見だ。結婚指輪を父は大事に取っていた。それをネックレスにしてアルトに渡した。
しかし、その話はアルトが赤ん坊の時だった為、本人は覚えていない。
レンは「家族の証だよ」なんて嘘をついていた。
もう父もいない。なんて、幼い彼に言うには残酷な気がしたのだ。
「父さん……おやすみ……」
半ば寝言のように述べアルトは眠りにつく。
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