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ハゲが色々なドアを開け、そろそろ疲れたなーという頃に、真っ赤に染まった趣味の悪い大きな扉にたどり着いた。
「よし、ここだ。コンコン、失礼します!!」
ガチャ
ギィーと軋む音をあげながら悪趣味ドアは開いてゆく。
そのドアの中の部屋にいたのはどこかの役員のような格好をしたお兄さんだった。
「やあ、君が迅くんか……。」
「何のようだ?普通死刑囚とは面会なんて出来ないはずだが?」
「まあまあ、落ち着いて……。僕が今日ここに来たのは君に頼みがあるからだ」
「頼み?何だ、殺しか?」
「ふっ、だったらどうする?」
「断る」
「……?大量殺人者の君が君が殺人を嫌ったのか?」
「無闇な殺傷はしない主義でね」
「……交渉決裂だ。さあ、お前ら、死刑執行だ。担当は……岡崎、畑山……それから野口さん、お願いします。」
「ええ!?僕らですか!?」
「……何だ?署長に文句あんのか?」
「……いえ、申し訳ありませんでした。」
「ふん……。さて、延命くん。君はこの白いフードを被れ。」
「何すかこれ?」
「そういう規則なんだよ。いいから被れ!!」
フードというか、白い麻袋のようなものを頭に無理矢理被せられた。
……前が見えねぇし、真っ白だわな。
それから10分くらいか後、俺への作業が終わったのか、周りにいた人たちの気配が消えた。
……沈黙が続く。
……いつになったら死ぬんだ?
……早く死なせろよ……ってうわ!!
いきなり床がガタッと外れ、俺は底が見えない奈落の穴へと落っこちた。
かと思ったが、それは途中で止まった。
──自分の首で止まったからだ。
ミシミシという縄の音と苦しみが俺を襲う。
……くっ!!くらくらする。
ああっ!!ヤバい、これ。目の前がチカチカしてきた。
あ、これ死んだわ。
まあ、俺はそれくらいのことをした。
──あの子を助けるためとはいえ、殺りすぎたな。
それが俺の最後の記憶だ。
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