とある恋の始まり方

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と、少しすると片方に寄せたのか、もぐもぐ、と頬が動き出した。 彼女の頬も熱く、赤くなっている。 彼女一人だというのに、誰かに微笑むように目が笑っていた。 美味しい、と笑っているように。 それを見ていた僕も少し笑っていた。 焼き、水、と交互に食べているのか、次は焼き餃子を箸で取った彼女は、あ、と、お酢のみだったタレに醤油風味のタレを足して調整する。 こだわりはそれぞれ。 僕もお酢を大目にするのが好きだ。 そしてそれも一口で、もぐもぐ、と彼女は食べる。 食べているその唇が、油で艶めいていた。 そして彼女は舌をちろり、と出してその下唇を舐める。 ぺろり、と、それをも美味しそうに。 それを見ていた、見てしまった僕は、ほぅっ、としてしまっていた。 やばい、やばい――見惚れた。
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