14人が本棚に入れています
本棚に追加
と、少しすると片方に寄せたのか、もぐもぐ、と頬が動き出した。
彼女の頬も熱く、赤くなっている。
彼女一人だというのに、誰かに微笑むように目が笑っていた。
美味しい、と笑っているように。
それを見ていた僕も少し笑っていた。
焼き、水、と交互に食べているのか、次は焼き餃子を箸で取った彼女は、あ、と、お酢のみだったタレに醤油風味のタレを足して調整する。
こだわりはそれぞれ。
僕もお酢を大目にするのが好きだ。
そしてそれも一口で、もぐもぐ、と彼女は食べる。
食べているその唇が、油で艶めいていた。
そして彼女は舌をちろり、と出してその下唇を舐める。
ぺろり、と、それをも美味しそうに。
それを見ていた、見てしまった僕は、ほぅっ、としてしまっていた。
やばい、やばい――見惚れた。
最初のコメントを投稿しよう!