初めてのクエスト、新たな出会い

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《ナギサ視点》 私は1人だった。 昔から1人だった。 いつからだろう? 記憶の中では 1人だった記憶しかない。 違う。 私が恐れているんだ。 『あの日の記憶』を 思い出すことを。 私がまだ 『普通の女の子』だった頃。 小さな女の子だった頃。 普通に家族に囲まれ 普通に友人らと遊び 普通に家へ帰った。 そして 『悪夢』は突然訪れた。 悪夢じゃない。 アレは現実だ。 何も無い小さな村に 突然謎の男が現れた。 あの日 私の『普通』は壊れた。 謎の男は 笑いながら 私の家族を 私の友人を 私の村の人たちを 笑いながら殺していった。 まるで 子供が蟻を殺して遊ぶように。 私の家は焼かれた。 私の村は焼かれた。 まるで キャンプファイヤーのように 暖かい火だった。 違う 違うんだ。 あの男は あの悪魔は 笑いながら村を燃やしていった。 笑いながら皆を殺していった。 笑いながら、 私の右目を、貫いた。 『死の王』 奴はそう名乗った。 もしも私が生き延びることが できたなら 復讐に生きるもよし すべて忘れ 普通の女の子として 生き続けるもよし。 好きにしろ 奴はそう言った。 私は 『死の王』を殺す。 復讐するんだ。 そのために 1人で生き 1人で強くなる。 そう誓った。 誓ったはずなのに メリア ヴェイン 貴方たちと出会って 人と共に生きる楽しみを 思い出してしまった。 いいのだろうか。 私のせいで 貴方たちを 巻き込んでしまうかもしれない。 『死の王』との戦いに…。 でも 私も 人並みの幸せを願ったって いいのかな。 ねえ お父さん。 お母さん。 私は 普通に生きてもいいのかな? 『死の王』を 村に招き入れてしまった 私なんかでも…。  いいの、かなぁ。 そんな事を考えながら クラニア火山を歩く。
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