初めてのクエスト、新たな出会い

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《ヴェイン視点に戻る》 メリア 「ナギサ? どうしたの?」 ナギサ 「えっ? ああ、すまない。 考え事をしていた…」 ボケーッとしながら歩くナギサに メリアが声をかけている。 考え事か。 ヴェイン 「今はひとまずクエストに 集中した方がいい。 油断してたらマグマに落ちるぞ」 細い道の下には、 マグマが流れている。 落ちたら私とて死ぬだろう。 ナギサ 「あ、ああ… そうだな」 メリア 「…? どうしたの?」 ナギサ 「いや、何でもない。 ただ…私なんかがこうして、 普通に誰かと共にいるのが 信じられなくてな」 メリア 「ふーん…? 信じられなくても、 これからずっと一緒だよ!」 ニコッと メリアがナギサに微笑んでいる。 こういう時は 普段のバカっぽさは 彼女から消える。 こういう時だけは。 メリア 「ヴェイン。 今失礼な事考えてるでしょ?」 ヴェイン 「なぜわかった?」 メリア 「やっぱり!! なんとなく わかっちゃうんだからね!! いつでもそうやって バカにして~!!」 はいはい。 とご立腹の姫様をなだめる。 そして そんな私たちの様子を見て ナギサが笑い出した。 ナギサ 「あ、あはは! 本当に貴方たちは面白いな」 メリア 「え、そうかな?」 ヴェイン 「そんなに笑うところか?」 ナギサ 「ああ、笑うところだ」 何を思ったのかはわからないが、 ナギサは我々に優しく 笑いかけてきた。 ヴェイン 「やはりお前は笑顔が似合うな」 ナギサ 「え? そうだろうか?」 メリア 「ヴェイン~? ナンパかな?」 ヴェイン 「違う。 素直にそう思っただけだ」 まったく。 さっさと進むか。 ナギサ 「…ありがとう」 ヴェイン 「? 何か言ったか?」 ナギサ 「いや、なんでもないよ。 さあ 先を急ごう」 ボソッと 何かを呟いたようだが、 あまりにも小さな声だったので ハッキリとは聞き取れなかった。 メリア 「で、でかっ…」 ヴェイン 「…ベヒーモス種…コイツか」 ターゲットを見つけた。 火山に住むベヒーモス種 《ボルケイノ》だ。 真紅の体に 禍々しい角。 五つに分かれた尻尾。 人を遙かに越す巨体。 なるほど これは強敵に違いない。
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