第1章

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まだ時間はあるよ もう会えないわけじゃないよ 君が好きだから泣かないでよ またきっと会えるよ 伝えたい気持ちはこんなにも溢れてくるのに 「もう卒業まで時間無いね」 「うん…」 「高校卒業したら会えないね」 「うん…」 泣いている君にも 「君が泣いたら僕が泣かしたみたいだから泣かないでよね」 「うん…ごめん…」 「…今までありがとう、ちょっと早いけど先に言っておくね」 本当に伝えたい事が言えない。 それどころか言葉にすればする程違っていく それがもどかしいんだよ。 また君は無理に笑顔を作って 「私の方こそ…ちょっと早いけど今までありがとう」 そう言って差し出していた僕の手を握った。 一番幸せになって欲しいと願う人の手は 少しだけ震えていた。
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