1人が本棚に入れています
本棚に追加
「えぇ!!小岩井さんやめちゃうんですか!?」
楽屋に響く俺の声は、思いのほか大きく響いた。
それほどまでに、彼女の発言は俺にとって死活問題だった。
そう、死活問題、だ。
なぜならば、彼女は俺にとって生命維持装置・・・いや、人だから生命維持的人材か。
まぁ、そういう存在なのだ。
「いや、やめないよ~。ちょっと実家のほうでトラぶっちゃってね、一週間ほど休みをもらうだけだよ。」
「っなんだ。そっか。」
思わず安堵の溜息が漏れた。
どうやら俺の早とちりだったようで、俺的には早とちりしちゃった、てへぺろ、だけの話なのだが、どうやら目の前の彼女的には、いいおかずになりそうだ。
その証拠にその口がにんまりと下向きに半円を描いている。
俺は逆に半円を描いてげんなりしているが。
「そっかそっか~。四季君は私がいないと寂しいんだね~不安なんだね~。まあ、私がいないとなーんにもできないもんね~。しょーがないなぁ、別に泣いてもいいんだよ?放置の方向だけど。」
「はーもう俺も25なんで、別に一人でもなんとかなりますし。かつ、慰めてもらうならぴっちぴちの可愛い女の子に・・・。ってか放置の方向なんですか。」
「あーそっかそっかそっか~!!四季君はもう25だもんね~?朝、トーストを焼こうとして軽くボヤをおこし、昼、ご飯を買いに行こうと外にでたはいいけど、スクランブル交差点を渡れなくて、手ぶらで帰ってきて、夜、風呂洗い中に足を滑らせて気絶してた四季君はもう25歳だもんね~!!一人でもなんとかなるよね~一人でも!!」
「・・・あれ、俺25歳ですよね。」
「この駄目子が。」
「俺のプラスチックのハートに傷が・・・。」
「最近のプラスチックって頑丈だよねー。ペットボトルなんか折りたためるほど薄いやつもあるし。」
「俺のハートが折りたたまれる・・・だと。」
「ぺらいハートだねぇ・・・。ちなみに、私はまだぎりぎり20代の29歳なので、まだぴっちぴち枠でーす。」
「結構気にしてたんですね。」
「女の子はそのワードにこだわりをもつものなんでーす。20代です~!っていうのと30代なんです~!っていうのとでは明らかなる格差が生まれるんだからね。」
「・・・覚えときます。」
「うむ。精進せえ。」
最初のコメントを投稿しよう!