俺の脳はプラスチック製

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「えぇ!!小岩井さんやめちゃうんですか!?」 楽屋に響く俺の声は、思いのほか大きく響いた。 それほどまでに、彼女の発言は俺にとって死活問題だった。 そう、死活問題、だ。 なぜならば、彼女は俺にとって生命維持装置・・・いや、人だから生命維持的人材か。 まぁ、そういう存在なのだ。 「いや、やめないよ~。ちょっと実家のほうでトラぶっちゃってね、一週間ほど休みをもらうだけだよ。」 「っなんだ。そっか。」 思わず安堵の溜息が漏れた。 どうやら俺の早とちりだったようで、俺的には早とちりしちゃった、てへぺろ、だけの話なのだが、どうやら目の前の彼女的には、いいおかずになりそうだ。 その証拠にその口がにんまりと下向きに半円を描いている。 俺は逆に半円を描いてげんなりしているが。 「そっかそっか~。四季君は私がいないと寂しいんだね~不安なんだね~。まあ、私がいないとなーんにもできないもんね~。しょーがないなぁ、別に泣いてもいいんだよ?放置の方向だけど。」 「はーもう俺も25なんで、別に一人でもなんとかなりますし。かつ、慰めてもらうならぴっちぴちの可愛い女の子に・・・。ってか放置の方向なんですか。」 「あーそっかそっかそっか~!!四季君はもう25だもんね~?朝、トーストを焼こうとして軽くボヤをおこし、昼、ご飯を買いに行こうと外にでたはいいけど、スクランブル交差点を渡れなくて、手ぶらで帰ってきて、夜、風呂洗い中に足を滑らせて気絶してた四季君はもう25歳だもんね~!!一人でもなんとかなるよね~一人でも!!」 「・・・あれ、俺25歳ですよね。」 「この駄目子が。」 「俺のプラスチックのハートに傷が・・・。」 「最近のプラスチックって頑丈だよねー。ペットボトルなんか折りたためるほど薄いやつもあるし。」 「俺のハートが折りたたまれる・・・だと。」 「ぺらいハートだねぇ・・・。ちなみに、私はまだぎりぎり20代の29歳なので、まだぴっちぴち枠でーす。」 「結構気にしてたんですね。」 「女の子はそのワードにこだわりをもつものなんでーす。20代です~!っていうのと30代なんです~!っていうのとでは明らかなる格差が生まれるんだからね。」 「・・・覚えときます。」 「うむ。精進せえ。」
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