『when I thought about…』

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牛乳にスプーン山盛り二杯分の粉を混ぜて、ぐっと飲み干す。 メインはチョコレィトフレイヴァー、時々バナナ風味。 これを飲むのを日課にして大分経つが、オレのスペシャルドリンクはいつ効果を発揮してくれるのか。 鍛え抜かれた戦士のごとき肉体を我がものにする劇的な瞬間を想像して胸を高鳴らせながら、黒のタンクトップとアーミー柄のズボンに着替えたオレは、背中近くまで伸びた髪をゴムで結わえた。 あいつ、赤いバンダナは止めろって言ってたな。 今日は親友のカタギリが、オレのために居酒屋で飲み会をセッティングしてくれた。 オレのためにだ。 やつのバイト先の女子とツーマンセル、いや、ツーショット。あれ? まぁいい。 夏は恋の季節だぜ!! 「行ってきます」 「あんた、その格好――」 オカンにはオレの美意識が通用しない。 意に介せずドアを閉めて車庫に向かった。 真っ白に輝くマシンを縛る封印を解く。U字型のやつだ。 さあ、漢の戦場へオレを運べ。 相棒、スカイウェイヴ! キーを挿し込んでひねり、左手のブレーキレバーを引いてエンジンを掛けた。 待ってろよ、ガールズ。 まずはオレのこのジューシーな肉体でメロメロに…… ……何? 居酒屋なのにスクーターで行くなって? 大丈夫だ、問題ない。 真夏日の冷えたビールは恋しいが、今日は飲まないからな。
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