Act.14 Side Ayumu

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しぶしぶ俺の意見に折れながらも、葉月は俺の額からタオルを取ると、新たに冷たいタオルに交換してくれる。 ひんやりと冷たい感覚に、子供の頃母親に看病して貰ったことを思い出して、また目頭が熱くなった。 「まだ熱が高いけど食欲あります?」 「……ない」 「でしょうね。だけど少しでも何か食べてからじゃないと薬飲めないから。 おじやでも作って来ますね」 「……うん」 素直に頷いた俺に葉月は小さく笑うと、寝室から出て行った。 開いたままの襖の向こうからはキッチンで動き回る葉月の音が心地よく耳に聞こえて来る。
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