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唖然として葉月を見つめていると、彼女は小さく笑って呟いた。
「どうしてあの人に来てもらわなかったんですか?」
「……え?」
「昨日は迎えに来てもらってたくせに」
「……は?」
一瞬、葉月が何を言っているのか理解出来なかった。
あの人?迎え?
「まぁいいです。
あまり熱が下がらないようなら、座薬も買ってあるので。
私はもう帰ります」
すっと立ち上がった葉月が背中を向ける。
その瞬間、ようやく俺は悟った。
……ああ、昨日葉月は見たんだ。
俺と冴子が一緒にいるところを。
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