Act.14 Side Ayumu

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そう言って笑った冴子の横顔を見つめながらふと思う。 いつから冴子はこんなに強くなったのだろう。 別れてから一度だけ、泣きながら俺に電話をかけてきた冴子はもうどこにいなくて、やけに逞しい冴子の姿に虚しさを覚える。 結局、俺は冴子のためにも葉月のためにも、何一つしてやれていない現実を見た気がして。 「っていうか、歩こそこんな時間に何してたの?」 「え?……ああ、販売促進部の子と歌舞伎町で飲んでたのよ」 「歌舞伎町?まさかホストクラブ?」 「そう、そのまさかのホストクラブ」 投げやりに答えた俺に、冴子が爆笑する。
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