8 Everything is you.(すべては君のためにある)

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―――2009年夏。 残暑厳しい9月の月曜日。 週明けには必ず戻っていた旭が初めて帰宅しなかった。 そのまま出社したのだろうか。 まさか途中で事故にでも…。 心配になった茜は旭の携帯に電話をかけ、メールも送ったが返事は返って来なかった。 元々旭は、業務に入ってしまうと私用電話には出ないこともある為、それならばいいのだが、でも…と嫉妬よりも不安が先に立ったけれど、妻である自分が夫の会社に『主人は出社してますか?』などと聞く訳にもいかない。 どうしよう…。 このまま帰って来なかったら…。 不安に眠れぬ夜を過ごした翌、早朝。 旭からメールが届いた。 ―――『茜。ごめん。俺、帰りたい。茜のいる家へ。今、高山市の蓮池工房にいる。』 あの人が! 旭が私を呼んでいる! 茜はすぐさま高山市蓮池工房の所在地を調べ、住所を控え、幾度も押し間違う震える指でカーナビに登録するとゴルフを発進させた。
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