8 Everything is you.(すべては君のためにある)

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茜は真っ直ぐ玄関へ進み、力一杯、玄関戸を開けた。 ジトジトした嫌な空気が纏わりつく。 (こんなところに住めるの?) 見回すと、土間の上がり口に履きくたびれた女物の赤いサンダルと、見覚えのある男物の革靴が揃えてあった。 怒りに満ちた感情が込み上げる。 しかし、 『ごめんください。麻生と申します。 こちらに主人がお邪魔しているそうで。 迎えに参りました』 ズカズカと乗り込んで行きたい気持ちを抑え、茜は極力、穏やかに声をかけた。 だが、 …… 室内からは何の応答もなかった。 気配は感じるというのに。 誰かがいる、息を潜めている、そういう気配が。 居留守を使うつもり? そう直感した茜は、 『いらっしゃるんでしょう? 上がらせていただきますね』 そう言って土間で靴を脱ぎ、入り口すぐの座敷に上がると、開け放たれた障子戸の向こうに囲炉裏を見つけた。
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