8 Everything is you.(すべては君のためにある)

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女が座っていた。 その隣には赤い服の男が寝転んでいた。 (…旭?) また1歩、茜が囲炉裏に近づいた。 男と女の全貌が見えてきた。 女の手には血まみれの斧。 そして真っ赤に染まった旭が…。 『やめてぇっ!』 茜が部屋に飛び込んだ。 『旭っ!旭―――っ!』 首元がザックリと割れ、旭はピクリとも動かない。 女も返り血を浴び、真っ赤だった。 茜は座椅子にもたれ、虚ろに宙を見上げている女に飛びかかった。 『どうして?どうして?』 その言葉に我に返った女が茜を振り払おうと抵抗する。 『愛してるって言ったのに! 嘘つきっ!』 叫びながら、女は茜に向かって斧を振り上げた。 『あんたなんか! あんたなんか子どもも産めないくせに!』 そのひと言に茜の心が切れた。 茜は力ずくで女の手から斧を取り上げた。 そして両手で握り締め、頭上高く振りかざす。 その形相に女がたじろいだ。 『お願い。やめて…。 彼の子どもがいるの…』 ―――茜の両腕が真っ直ぐに振り下ろされた。
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