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ねぇ、類。
あの時…どうして旭が類の前で私に告白したか知ってる?
あの人は類を許せなかったの。
ひとつでも自分より抜きんでている類を、あの人は許せなかったのよ。
類があの人に逆らわないことを知っていたから。
だから類から私を引き離したの。
私もバカね。
あの人の本心に気づかなかった…。
あの人は自尊心の塊。
私を愛してたわけじゃなくて、傷つく類を見たかっただけ。
だからあの人は、類の成功を心の底から憎んでいたのよ。
私、類と結婚すればよかった。
そう思ったの、嘘じゃないわ。
でも…。
でも私はあの人を愛してしまった…。
捻じ曲がり、渇ききったあの人の心を、いつか愛でいっぱいに出来ると信じてた。
類…。
本当にごめんなさい。
もっと早くにこうすればよかったんだわ…。
まさしく、茜が類に遺した『遺書』だった。
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