9 Baby Blue(限りなく優しい色)

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コトッ… ウィリアムが1本のカセットテープを置いた。 「……?」 「これは3カ月前にCRISISに送られて来たモノだ。 それをマイクがデータに再生した。 保存状態が悪かったらしく、かなり苦労したらしいぞ?」 類がテーブルの上からテープを手に取る。 ―――『Dear類。あなたがくれたもの。by茜』 「茜?」 コンピューターからは、繰り返しピアノの旋律が流れていた。 「いつの作品なのかはわからない。 だが、彼女がルイに遺したモノだということは確かだ」 「茜が俺に…?」 「事故後、彼女の家族がこれを見つけてCRISISに送ってくれたそうだ。 それが彼女の望みだろうと」 類の目から涙が溢れる。 「彼女はルイから受け取ったモノを大切にしてきた。 それは、決して目に見えるモノなんかじゃない」 ウィリアムが類の肩に手を置く。 「これが、今回マイクから届いた仕事だ。 きっちり仕上げろよ?」 そう言って部屋を出て行った。
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