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コトッ…
ウィリアムが1本のカセットテープを置いた。
「……?」
「これは3カ月前にCRISISに送られて来たモノだ。
それをマイクがデータに再生した。
保存状態が悪かったらしく、かなり苦労したらしいぞ?」
類がテーブルの上からテープを手に取る。
―――『Dear類。あなたがくれたもの。by茜』
「茜?」
コンピューターからは、繰り返しピアノの旋律が流れていた。
「いつの作品なのかはわからない。
だが、彼女がルイに遺したモノだということは確かだ」
「茜が俺に…?」
「事故後、彼女の家族がこれを見つけてCRISISに送ってくれたそうだ。
それが彼女の望みだろうと」
類の目から涙が溢れる。
「彼女はルイから受け取ったモノを大切にしてきた。
それは、決して目に見えるモノなんかじゃない」
ウィリアムが類の肩に手を置く。
「これが、今回マイクから届いた仕事だ。
きっちり仕上げろよ?」
そう言って部屋を出て行った。
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