103人が本棚に入れています
本棚に追加
「おまえが時間にルーズなの、
説教してたらいくら時間があっても足りない。
いくぞ」
「……どこに?」
「黙ってついてこい」
「……はい」
足早に歩く奴に置いて行かれないように、
必死で歩く。
見えてきたのは私がデートを提案した公園。
きれいな桜並木を抜けると、噴水の前に出た。
私たちがその前に立ったとき、
近くの教会で結婚式でもやっているのか、
鐘が鳴り始めた。
舞い散る花びらの中、
奴は黙って私の手を取ると……
左手の薬指に指環を嵌めた。
「これでおまえは、一生俺のもの」
……いわれた意味を理解するまでに
数秒を要した。
「えっと、あの?」
「不服か?」
最初のコメントを投稿しよう!