グリンピース

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……その日私は。 見てしまったんです。 あの課長のあり得ない姿を。   うちの課長は社内でも有名なドSだ。 ちなみにあだ名は「ドS王子」。 ……そのまんま、といえばそのまんま。 天パの髪にちょっと下がった目。 実際よりも若く見えるその顔は、 確かに見た目は優しげな王子っぽい。 ……あくまで黙っていれば、だ。 「田中!」 「は、はいっ!」   私の真ん前の田中くんが、 課長の声に弾かれたように立ち上がる。 そのままあたふたとデスクの前に行くと、 冷たい声があたりに響いた。 「……なあ、田中。おまえって天才だな」   ……きたよ、きたきた。
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