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でも、ちょっとよく考えてみて
これってもしかしてこれからも使えるんじゃない?
だってこの千裕さんの白々しい態度は、私のさっきの言葉に刺激されてって事でしょ?
って事は、あの咄嗟の思いつきの子供騙しみたいな言葉が、千裕さんにガツンとダメージ与えたって事だよね?
えっと……何だっけ?「当分エッチは無しです」だっけ?これに反応したんだよね?
フフフ……いい事知っちゃったな
これから千裕さんが私を困らせる時は、最終手段……脅し文句として採用決定だね
いや~私、憧れだったんだよね~
1度でいいから旦那さんを手のひらで転がしてみたいって思ってたんだ
ほら、それって何か出来る妻みたいでカッコいいじゃない?
フフフ……
ヤバイ、顔がニヤケちゃう
こんな悪巧みバレバレの顔してたら手のひらで転がすどころじゃなくなるよ
いや、そしたらまたエッチ無しって言えばいいのか……
フムフム……
よし、レベルアップだね!
『奥様は手のひら転がしの技を覚えた』……ってな感じ?
ニヤケない様に下腹に力を入れ口元をキュッと引き結ぶと、窓の外を見る振りをして千裕さんの視界から外れた
だけど段々ジワジワと込み上げてくる想いに、何故だか頬が熱くなってきてしまう
私の自惚れでなければ、千裕さんにとって私とエッチ出来ないという事は、どんな罰よりも耐え難い事だと思っていいのだろうか……?
それだけ愛されてるって単純に喜んでもいい事なんだろうか?
窓の外を見ながら朝の清々しい気分とはまるでかけ離れた事を考えていると、私の背中越しに千裕さんが話しかけて来た
「花音、俺ちゃんと言う事聞いたからさっきの続きは夜な、忘れんなよ
初日だからって張り切って疲れて寝落ちなんかしたら……」
そこで言葉を切るとクスッと小さな笑い声が聞こえて来て、思わずゴクリと息を呑んだ
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