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「…………」
車内には千裕さんがハンドルを操作する音と、ウインカーの音だけがやけに大きく聞こえて来る
「…………あれ?もしかしてスルー?
ちょっとそれはへこむな……」
赤信号で止まり、固まったまま何も言わない私を見て千裕さんが困った様に笑って言った
あ……ち、違う
スルーとかじゃなくて……
「もう俺の事どうでもよくなった?」
「ち、違います!
そんな事ないです!
どうでもよくなくないです!」
ん……?よくなくない?……合ってるのか?
何か変だけどまぁいいや
「えっと、スルーしたとかじゃなくて、突然言われてちょっとビックリしちゃって……」
千裕さんの遠慮がちな笑顔がなんだか切なくて、何故か必死になってしまう
「わ、私だってその……
あ、愛してます……」
キャー恥ずかしい
2人きりでもやっぱり恥ずかしいよ
ベッドの中でならまだしも、車の中、しかも朝、当然服もちゃんと着てるし、第一今から仕事
この状況で『愛してる』だなんて、どんなシチュエーションなのよ、これ……
カァ……と一気に熱くなる頬を両手で押さえると、真っ赤になる顔を見られたくなくて視線を落とした
「本当に?」
だけどまだ終わってはくれない
千裕さんは俯く私の膝の上にそっと自分の左手を乗せると、熱い指先でツーっとなぞる様に優しく撫でてられた
「ひゃっ……
ち、千裕さん何をして……る………キャ!」
その手が私の膝丈のスカートの中に消えると、ストッキングの感触を確かめる様に太股をツツーといやらしく撫で上げて来た
「……んんっ……」
我慢しきれずに口の端から吐息が漏れてしまったその時、ちょうど信号が青に変わり千裕さんの左手をスカートの中に置いたまま、車は何事もなかったかの様にまた走り始めた
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