番外編⑫ **ほんの少しだけ未来の話**

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「ち、千裕さん……やめて…… 誰かに見られちゃうよ……」 いくら車の中でも、もし大きな通りで信号で止まったりしたら隣の車線の車の人に見られてしまう スカートの中だからわからないかもしれない だけど運転しながら助手席の彼女のスカートの中に手が入ってて…… その手が何やらモゾモゾと動いていたら…… やだやだ、絶対に変な風に思われちゃう 何かこいつら変な事してるって思われちゃよ 二度と会う事ない人かもしれないけど、いやいや、そういう問題じゃない 車の中でこういういかがわしい行為をしてる事が問題なんだよ 2人とももういい大人だよ 恋人同士……ううん夫婦なんだよ 子供だっているんだよ なのにこれから仕事に行くって時に、早朝から車の中でなんて…… 盛りのついた中高年……じゃなくて、中高生ですか!!もう我慢せーよ! 「千裕さん今はダメです ね、やめましょう ほら、これから仕事なんですよ このままじゃ私…… 今日の仕事、まともに出来る自信がありません……」 そうだよ このまま会社に着いてパッと切り替えられる程、まだ私の中で千裕さんからのエロ対策は出来てないの 千裕さんと違ってまだまだヒヨッコなんですよ きっと顔にも出ちゃうし、挙動不審になる事間違いないの そしたら絶対にみんなに変な目で見られるよ コイツ仕事しに来たんじゃないのかよ! ぼーっとしてるならいらないんだよ、帰れ! とか言われちゃうよ…… ……やだ、だんだん悲しくなって来た ちょっぴり泣きそうな顔で千裕さんを見つめていると、隣りからハァ……と大きな溜息が降ってきた そして千裕さんは一瞬横目で私を見た後すぐに前を向き直すと、ハンドルを握る手に力が加わった様に見えた 「マジで会社に連れて行きたくない」
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