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「わぁ、何か凄く懐かしいな……」
仕事を辞めてもうすぐ4年が経つんだもん、懐かしいと感じるのも無理ないよね
千裕さんと一緒に堂々と正面玄関から出勤した私は、営業課のドアの前で足を止めた
ここに来るまでにも懐かしい顔にたくさん会った
でも4年も経つと当然知らない顔もたくさん居て、なんだか懐かしいのに新鮮な気分だ
「大丈夫か?イヤならやめても……」
「ふふ、何言ってるんですか、やめませんよ
大丈夫です、何か新入社員になった気分でワクワクしてます」
「そうか、それは残念……
じゃあしょうがない、行くか」
「はい」
私の前に立つ千裕さんが振り返り優しく微笑むと、オフィスのドアを開けた
「おはようございます」
まずは千裕さんが普段通り……なのかな?特に愛想もなく淡々と挨拶をし中へ入っていく
「花音、おいで」
そして中に入った所で立ち止まり後ろにいる私を呼んだ
「お、おはようございます!
……え、えっと、み、みなさんお久しぶりです」
思いの外緊張していたのか凄く小さな声で噛み噛みの挨拶になってしまい、隣で千裕さんにクスッと笑われてしまった
だけど次の瞬間……
「木村さ~ん!おかえり~待ってたよ~!」
ドドドドド……と部屋の端の方から駆け寄って来る足音にギョッとして思わず身構えると、スッと大きな影が目の前に現れ私を守る様に立ちはだかった
そしてそのすぐ後にドンッ!と鈍い音がして、またそのすぐ後に昔よく聞いた声が聴こえてきた
「いたたた……
もう、上杉君何するんだよ~」
あ!部長だ……ふふ、相変わらずだな
4年経っても変わってない部長を見て安堵の笑みが零れる
「もう、上杉君どいてよ!
せっかく木村さんに再会のハグを……グフッ、ゲホッ……」
え……今の何!?
何か苦しそうな呻き声みたいなのが聞こえたけど大丈夫?
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