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いや、前から千裕さんは部長に対しての扱いが酷かったけど……
でもさすがにちょっとこれは……とヒヤヒヤしている私の後ろから、クスクスと楽しそうな笑い声が聴こえてきた
振り返ってみると、出勤してきてる人達……知ってる人半分、知らない人半分が2人のやり取りを楽しそうに見守っているではないか
え?みんな楽しそうだけど……いいの、このままで?
これ、止めなくても大丈夫?千裕さんクビになったりしない?
だけど私の心配をよそに千裕さんの毒舌は続いた
「それから、花音は部長の癒しのために復帰したんじゃないですよ、残業続きの私を心配して力になってあげたいと思ってくれて復帰してくれたんです
だいたい部長は大きな間違いに気付いてない!
花音は一社員である前に俺の妻なんです!
人の妻に何をハグとか女神様とか寝ぼけた事言ってるんですか?
もうセクハラなんて可愛いもんじゃなくて猥褻行為ですよ、立派な犯罪です、わかりますか?
それでももしこれ以上言うならその時は……」
「わ、わかった、わかったよ
上杉君、わかったから、私が悪かった、頼む落ち着いてくれ、ドードー」
やだ部長、ドードーって千裕さんは馬じゃないよ
もう、本当に殺られちゃうよ、気をつけて!
「おい芦田、ハサミ持って来い」
え?ハサミ!?
だ、ダメダメ千裕さん、何するのか知らないけどハサミはダメ!物騒すぎるよ
指名を受けた芦田君をパッと振り返ると、彼は慣れてるのか表情一つ変えずに千裕さんに向かって言った
「課長、ハサミよりガムテでいいんじゃないですか?ペリペリってしたら簡単にくっついてきますよ」
えぇー!
もしかして髪の毛?部長の髪の話してるの!?
ハサミ……いや、ガムテでペリペリって……
ようやく会話を理解した私は居た堪れない気持ちで部長を見つめた
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