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するとそこには今にも泣き出しそうな顔した部長が、両手で頭頂部を守るように押さえて立っていた
部長……
い、いくら何でもちょっと可哀想だよ
よし、ここは私の出番だ!
確かに女神様は気持ち悪かったけど、部長だって頑張って生きてるんだ
人間誰しも間違いの一つや二つはある、でもそれを責めるばかりではいけないんだ
もっと大きな心で………
「あの……すいません部長、今内線で会議始めるからとっとと来いって人事部長から……
かなりお怒りの様子でしたが……」
修羅場とも思えるこの状況で、新人君と思われるまだ若そうな子が申し訳なさそうに小声でこのやり取りに割り込んできた
「あぁ、そ、そうだった忘れてた、朝イチ会議の日だった
いや~大変大変、早く行かないと怒られちゃうよ
あ、ごめんね上杉君、ちょっと私会議行ってくるよ
あ、木村さん、君の事は上杉君に任せてあるから
じゃあ、今日からまたよろしくね~」
早口でそう言って立ち去ろうとする部長の肩を、千裕さんはバシッと掴むと低い声で一言
「木村さんじゃなくて上杉さん
次間違えたらマジで……」
「ひゃーごめんよ、つい癖で言っちゃっただけなんだよ
木……う、上杉さん、ごめんね、間違えない様に気をつけるから許してね、じゃ!」
そう言い逃げして振り向かずに部屋を飛び出して行った
な、何だったの一体……
だけど、部長って鬱陶しい筈なのに何故か憎めないから不思議だ
「ったく、朝から胸くそ悪い!
4年近く経ってるのに相変わらずのウザさは健在だな
いいか花音、イヤな事はハッキリイヤって言えよ
言わなきゃ、いや言ってもわからないんだから、わかるまでこれでもかってくらい言ってやれ!」
かなりご立腹らしい千裕さんにそう促され、とりあえずこの場は苦笑いでやり過ごすと用意されてる席へと向かった
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