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こうしてドタバタで始まった職場復帰初日は、千裕さんと一緒に働ける喜びを改めて実感し、もう感無量だった
もちろん柊と過ごす時間は私にとって宝物だよ
でも千裕さんとこうして一緒にいれる時間もまた私の宝物なんだ
私は本当にいい人達に支えられて恵まれてるってつくづく思ったよ
私もみんなに少しずつでも何か返していける様に頑張らないとね
「花音、そろそろ上がっていいよ」
気が付けばもう15時50分、私は16時までの契約なのでそろそろ終業時刻がやって来ていたらしい
「あ……もうこんな時間……」
夢中でパソコンにかじりつき、皆さんのスケジュールの調整や、データ入力をしていた私の元へ千裕さんがやってると、ポンと肩に手を置かれた
「ごめんな、帰りは電車になっちゃって
一緒に帰りたい所だけど、さすがにそれは顰蹙だからな
花音の場合家に帰ったらおしまいってわけじゃないから余計疲れさせちゃうよな、ごめん
俺もなるべく早く帰る、柊は俺が風呂に入れるから待ってて
あと、メシとか気にしなくていいからゆっくり休んでて」
千裕さんから優しい眼差しを向けられ、それだけで疲れなんか吹っ飛んでしまう
千裕さんは優しいし理解あるし、何せ本当に心強い
千裕さんがいてくれるだけで私は十分元気になれちゃうんだよ
「そう言ってもらえると助かります
じゃあ柊のお風呂はお願いしちゃいますね
それと、ご飯はちゃんと作って待ってます
だって千裕さんと一緒に食べながらたくさんお話したいですからね」
「…………っ」
あれ……何で?
何で黙っちゃたのかな……
ふと見上げれば心なしか千裕さんの瞳が揺れて、眉間には小さなシワが浮かんでいる様に見えた
「……どうかしましたか……?」
眉間のシワに視線を送りながら優しく問うと、千裕さんが私の視線に気付きフッと笑った
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