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「…………」
「…………」
あ、あれ?何で2人とも黙っちゃったの?
見れば千裕さんは今にも吹き出しそうだし、部長はなんだかシュンと悲しそうなんだけど……
「……あの……どうかしましたか?」
2人の反応の違いに戸惑っていると、千裕さんの手がポンと頭の上に乗った
「花音、やれば出来るじゃないか
そうやってハッキリ言ってやればいいよ、じゃないとわからないんだよ、こういう人は
うんうん、そうだよな~
部長なんて眼中無いもんな、わかるよ、うん」
え……千裕さんは何を言ってるんだ?
ニコニコ顔の千裕さんをキョトンと見上げると、ヨシヨシと言いながら頭を撫で撫でしてくる
「わっ、千裕さん!だからこういうのは会社では良くないって言ってる……」
「何だ花音、照れてるのか?
フッ、こんなのいつもしてる事だろ、今更恥ずかしがらなくてもいいんじゃないか?」
私の言うことなんて更々聞く気ないのか、千裕さんが途中で言葉を被せてくる
もう!千裕さんのバカ!
後で……家に帰ったらきちんと話さなきゃ
でもって会社ではくっつき禁止の約束してもらうんだから
ジロッと恨めしそうに下から睨んでみたが、フッと鼻で笑われてしまう
しかも鼻で笑うだけならまだしも、千裕さんはあろう事かそっと顔を近付け耳元に口を寄せた
「ダメだよ、花音のそんな可愛い顔、みんなに見せないで」
あのですね千裕さん……
みんなとか言う前に今、目の前に部長が居てですね、これ全部公開されちゃてるんですけど……
恥ずかしいやら、くすぐったいやらでもう顔が上げられない
だけど千裕さんの勢いは止まらない
真っ赤になって俯く私の耳元に、唇が触れるんじゃないかって距離で吐息混じりに囁いた
「そういういつまでも初々しいのも花音の魅力だよな
だけど困るな、この場で押し倒して触れたくなって来る……」
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