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「わっ、ちょ、何して……」
もう、だからこういうのはダメだって……やめてって言ってるのに
動揺しつつもパッと千裕さんから離れると、まだ甘い余韻の残ってる耳を手で押さえて千裕さんを睨んだ
「クスッ」
……うっ、笑われた……
絶対に確信犯だ、私をからかって遊んでるよね、これは……
もういい、サッサと帰ろう
これ以上いたら何されるかわからない
「ではお先に上がらせて頂きます、お疲れ様でした」
早口でそう告げるとバックを持ちペコリとお辞儀をした
「お疲れ様~
木、上杉さん、また明日ね~」
部長の寂しそうな視線に見送られオフィスを出た私は廊下に出てフゥ……と溜息をついた
「なんか疲れた……」
ボソッと心の声を漏らした時、後ろでバタンとドアの閉まる音が聞こえて来る
(………ですよね……やっぱり来るよね)
見なくてもわかるその人の気配に私は振り向かずに話しかけた
「千裕さん、あんまり私で遊ばないで下さい
そうだ、帰ったら会社での約束事決めますからね、ちゃんと守ってもらいますよ、いいですね」
そうだよ、会社でのルールを作ろう
普通は大人なんだしこんなの決めなくたっていいんだろうけど……
千裕さん相手では作らないとダメみたいだ
「フッ、はいはい、わかったよ
でも守るか守らないかは俺が決める、内容によっては全部却下だよ」
そう言った千裕さんの顔は見えてないけど、きっと今余裕の笑みを浮かべてるんだろうね
なんか悔しいな、私ばっかり余裕がなくて……
私にもこんなのを軽く交わせる余裕が欲しいよ
ハァ……
悔しいけど千裕さんからしたら私はまだまだ子供なのかな
……っ……でも負けるもんか!
別に子供だと思われてたって構わない
逆に子供なら子供のやり方でやってやる!
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