12951人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、千裕さんお先です
柊と待ってますから気をつけて帰って来て下さいね」
ニコッと笑うとバイバイと手を振り扉のボタンを押した
千裕さんは諦めてくれたのか「気を付けてな」とたった一言言って見送ってくれた
だけど扉が閉まる間際に見えた千裕さんの顔はやっぱり赤くて、瞳にはなんだか熱がこもっていた様な気がしたけど……
えっと、何て言うか……
その……つまり……
こんな風に思ってしまう自分が凄くイヤだけど、千裕さんのあの顔……私、よく知ってる気がするんだよね
いつも見てる様な、そんな顔だったんだよね
つまりその顔が何だって言うとね
その……えっと……だから……
あーもう焦れったい!
つまり千裕さんが……私を……抱きたいって思ってる時の顔、その顔に見えちゃったの!
いやいや、違うよ、違うとは思うよ
そんな事千裕さんが会社で思う訳ないよ
ふざけてはいたけど、それはきっと私の緊張をほぐす為にしてくれた優しさで、そんな不謹慎な事仕事中に考える様な人じゃない……よ、きっと……?
あーやだやだ、私の方が変な人みたいじゃん!
欲求不満?いや~そんな事はない、あるわけない
何故ならちゃんと千裕さんに愛してもらってるから
どんなに忙しくても千裕さんの想いはちゃんと私に伝わってるもの、幸せ過ぎて怖いくらいだもん
閉まった扉をボーッと見つめながらさっきの千裕さんの意味深な顔を思い出し、時間差でポッと顔を赤らめていたなんて事は千裕さんには絶対に秘密だ
・・・・・・・・・・
一方、花音を見送った千裕はと言うと……
花音を乗せたエレベーターの扉が閉まると、数字が階下へ下がっていくのをただボーッと見つめていた
そして無事に1階へ到着したのを確認するとそのままオフィスとは逆方向に足を運んでいた
最初のコメントを投稿しよう!