番外編⑫ **ほんの少しだけ未来の話**

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父はあの再会を果たしてからちょうど1ヶ月後に亡くなった 私は彼の最後を看取ることはしなかった……いや、出来なかった 私には知らせなくていい、もし聞かれる事があったら死んだと伝えてくれればいい…… それが父の最後の願いだったらしいから りっちゃんのおばさんからそう聞いた時には、どこまで勝手な人なんだって思った だけど絶対に泣くまいって思ってたのに、どうしてか涙が止まらなかった 本当に一人ぼっちになっちゃったんだ……って思ったら不安でたまらなくなった だけどその時千裕さんに言われたんだ 「ひとりじゃない、俺がいる 俺達はこれからずっと一緒に生きていくんだよ だからもう大丈夫、俺が寂しくなんかさせないから ずっと花音が笑っていられる様にするから」 って…… 嬉しかったな あぁ、私はこの人と一緒に生きていきたい この人の隣にいてこの人を幸せにしたいって思ったんだよね…… 「どうだった?復帰第1日目は 疲れたんじゃない?あっ!ちーちゃん会社で変な事しなかった?」 感慨深い想いに思わず浸ってしまいそうな私を、お義母さんがいいタイミングで引き戻してくれた 会社で変な事って…… アハハ……本当にお義母さんには全然信用ないな、千裕さんは…… 「大丈夫でしたよ」 本来嘘はつけない質なのでこう言うのが精一杯…… 「あらそう…… 全く本当にちーちゃんってダメ男よね ちょっとくらい我慢出来ないのかしら?恥ずかしい! 親の顔が見てみたい……って、私か!アハハハ……」 す、鋭い……ほぼバレてるよ お義母さん、安心して下さい! 間違いなくお2人は親子です、ちゃんとDNA受け継がれてますから 「お義父さんお義母さん、ありがとうございました お2人こそお疲れですよね? 夕飯はカレーを作るので良かったら食べてもらえませんか?」
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