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全く役に立たない千裕さんを従えて、2人の家の初大掃除は寝室からスタート
普段なかなか出来ないベッドの下やクローゼットの中を重点的に掃除をして行く
「こんなとこもやるの?別に今度でいいんじゃないか」
「ここは普段使わないし、第一見えないから気にならないよ」
「えー!これもやるの!?めんどくさいよ
別に多少汚くても俺は平気だぞ
ほら、埃とかと共存してた方が免疫力ついて強くなれそうだしさ
人の身体は意外と逞しく出来てるもんなんだよ~」
(うるさい……)
千裕さん普段は素敵なのに、どうして掃除関係になるとダメ男になってしまうのだろうか……
ふと千裕さんのバックに大家さんの幻が見えた気がして、慌てて目をギュッと瞑り首をブンブンと振った
(落ち着け……
大丈夫、普段は素敵なんだから
掃除だけ、掃除に関する一般常識がちょっと足りないだけ……そこは私が補えばいいだけ、別にどうって事ない)
(ふぅ……)
心の中で小さく深呼吸をすると、振り返り千裕さんを見た
「千裕さん、文句ばっかり言ってないで手伝う気がないならあっちでゆっくりしてていいんですよ」
とってつけた様な笑顔でニッコリ微笑む
そんな私を見て千裕さんの顔が一瞬固まったが、すぐに視線を逸らし黙って掃除の続きを再開した
(ふふ、やれば出来るんじゃない)
チラッと働きっぷりを確認すると自然と笑みが零れてきて、ホッコリ温かい気持ちになった
(なんだかこういうのいいな……)
その人と同じ空間で同じ時間を過ごす事が出来る幸せ……
当たり前の様に見えて実はどんなに奇跡的で贅沢な事なのか、私は千裕さんと出会って知ることが出来た
出来ることなら一生失いたくない
その為に自分がする事、自分が出来る事、そして自分にしか出来ない事をしていく努力と覚悟をしないとね
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