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「当然だ、どアホ」
その時、確かに私の前から聞こえてきた小さな小さな呟き……
え……今、千裕さんが言ったの?
もう、どアホって……
本当に口が悪いんだから!
一体どんな顔して言ったのかはわからないけど、でも千裕さんの事だ、セリフは酷いがきっと平然と善人顔で、しかもナイスガイ特典の決め顔で言ってるに違いない
ふぅ……
だけどおばちゃん達には聞こえてないみたいだし、まぁいいか……
「じゃあ本当に病室に行きましょうかね
えっとそこでひとつ確認なんだけど……
花音ちゃん、病室へはひとりで行く?それとも誰かと一緒に……」
ちょ、ちょ、ちょっと待って
おばちゃん、これって何の確認?
私ひとりで行く?……じょ、冗談はよし子さんだよ
やめてよ、みんなで行こうよ、って言うか行ってくださいお願いします!
「み、みんなと一緒がいいです!
ひとりなんて、む、無理ですから……」
ひとりでなんて行ける訳ない
かといって千裕さんと2人でも……
いや、決して千裕さんが頼りにならないとかそういった意味じゃないよ、千裕さんが居てくれるだけで心強いんだよ
だけどそういう事じゃなくて、えっと、どう説明したら……
「それもそうね、いきなりひとりは無いわよね~
かと言って上杉さんと2人で入るのも……ねぇ~
ごめんごめん、このまま4人で行きましょう」
そう言うとりっちゃんの手を振り払い「こっちよ」と先頭を歩き廊下の先へと進んで行く
いよいよか……
もう逃げられない、腹をくくれ、男らしく覚悟を決めろ!
……って、いやいや私男じゃないし……
まぁ、女を熱く語れるほど女子力高くはないですが、でも……そこそこに出るべき所は出てるし、千裕さんみたいに『息子』なるものはついてないし、生えてくる気配もないですから……
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