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「何言ってるのよ!花音ちゃんがこんなイケメン連れてきてるって言うのに気にならない訳ないでしょ?
木村さんだって知りたいでしょ?私は色々知りたいけど?」
何この楽しそうな雰囲気……
なんか全く予想外なんだけど?
おばちゃんの乱入で一気に病室内が賑やかになると
「ほら花音ちゃん早く紹介してあげなさい
上杉さん喋りたくてウズウズしてるわよ」
と自然な流れで私に舵を渡してくれた
おばちゃんありがとう、今度は私の番だね
今度こそ、と気合いを入れたのに……
「そうだよ、早く紹介してあげないとなんだかひとりだけ不審者みたいじゃん、可哀想だよ」
今まで黙っていたくせにおばちゃんに便乗してりっちゃんも乱入してきたではないか
だけどりっちゃん!
りっちゃんのは少し……いや、かなり刺のある言い方に聞こえましたけど?
チラッと千裕さんを覗き見ると……ハハッ、笑ってるけどこの顔は静か~に怒ってる顔だよ
もう!
あんまり千裕さんをいじめないでよね!!
りっちゃんを軽く睨むとサッと目を逸らされた
だけどこのやり取りで肩の力が抜けたみたい
「あ……あのね、この人は上杉千裕さんと言って、私の……その……とても大切な人です」
本当は……本音を言えばこの人になんか千裕さんを紹介したくはない
別にこの人にとっては私に彼がいようがいまいが関係ないし興味さえないでしょ?
下手すりゃ私が結婚していて既に子供が居たとしても別に驚いたりしないだろう
捨てた子供がどうしてようとこの人にとってはどうでもいい事……
ただ自分の余命を知って少しでも自分の犯した罪を軽くしてから死にたいとでも思ったのかしら?
虫のいい話だよね……
自分のしたこと棚に上げてさ……
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