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「私が全員殺した」
簡潔だった。
小さな希望が通れるだけの風穴すら見つけられないほどどうしようもなく。
煙草の灰が舞うように落ちていく様を見つめながら優斗はずっと考えていた。
もし自分が姉と同じ立場だったらどう対処しただろうか。
恐らくその答えは『何もしない』だろう。
厳密には何もできない。
絶望的で悲劇的な事件。
だから優斗は素直な気持ちを口にすることにした。
「そいつらがしたことは絶対に許せることじゃない。それに政府が裏から手を回していたのなら身柄を引き渡したところで何も好転しないどころか、また研究が再開されるだけだ。俺にはどうすればいいのか分からない、分からないけど……それでも咲姉には人を殺してほしくなかった」
優斗の声は微かに震えているような気もした。
言っていることは子供のワガママと何一つ変わらないと自覚していながら、顔を上げたところにポンッと咲の手が被せられる。
「そうだな。私は正しいことはしていない。だから余計に優斗にはその清い心を持ち続けてほしいと思うよ」
自分は既に失ってしまったものを優斗の中に見たかのように、咲は眩しそうな視線を優斗に送り続けていた。
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