第三章 メラル

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カチーンときた。 「おいおい、ライラさん。俺だってもうお前と同じレベル2の魔装士になったんだぜ?」 「あえて言う必要もないと思って黙っていたのだけれど私はもうレベル3よ」 「マジで!?」 レベル3と言えば優斗達能力者学科で教鞭を取っていた保坂や軍でもその大半が占めるミドルゾーンクラスの魔装士である。 学生の間にその域に達せられる者はほんの一握りだろう。 ましてやライラはまだ一回生だという点を考慮すれば末恐ろしいという他ない。 それは唐突にやってきた。 靴の裏から伝わる微細な振動。 ピンッと神経を張りつめさせたところに、聞こえてきたのは警報だった。 「やべぇ!!クリーチャーだ!!皆逃げるぞ!!」 子供離れした迅速な行動だった。 緊急時の避難場所が何処にあるのか的確に把握しており、そして何度もそこへ避難している手慣れた様子さえ窺える。 その子供達と交差するように走って行くのは武装した大人達。 その中には優斗の姉である咲の姿も混じっていた。 「咲姉!!」 「優斗?それに高坂も一緒か……お前達は先に行け」
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