第三章 メラル

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集団の中には咲より年上の者の方が多く、皆が素直に彼女の言葉に従う様子は再会した時にも見ているが、やはりどこか不思議な感じだった。 「クリーチャーが侵入してきたって子供達が言っていたけど本当なのか!?」 「あぁ」 咲の持つアンチマテリアルライフルを品定めするように見つめる。 一緒にいた男達も似たり寄ったりの装備だったはずだ。 「そんな武器が本当にクリーチャー相手に通用するのか?」 「さぁな。化け物にコイツの鉛玉を撃ち込んでみないことには分からん」 「この街に魔装士は?」 「いないな。厳密には子供達の中にはそういう素養を持つ子もいるが、戦えるという意味ではいない……さて、私はもう行くがお前達は家に戻っていろ」 ダンッと強く地面を蹴った咲の体は重力をものともせずに屋根の上まで跳ね上がる。 まるで忍者のように屋根から屋根へと跳び移って行く姿に呆気に取られていた優斗は慌ててその後を追いかけ始めた。 (おかしい) ピッタリと横について走っていたライラも同時に気付いた。 「お姉さんは無能力者だって言ってなかった?」 優斗はライラには包み隠さず何もかも話していた。
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