第三章 メラル

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姉がどういう人だったのか。 何故新東京を出ていくことになったのか。 最もそれは今滔々と語る場面でもないので割愛するが、聞いていたからこそそれは当然の疑問であろう。 「そのはずだけど……」 「でもあの人の動きは明らかにオーバーアシストされてる……それも私達以上に」 優斗は全力疾走しているにも関わらず咲に追いつくどころか、その距離は徐々に引き離されていく。 レベル3のライラは優斗のスピードに合わせてくれているのだろうが、その彼女をもってして自分より上だと言う。 「咲姉はインフラクションの移植手術を受けたのか?」 『ウイイイイイ!!』 『グウオオオオオ!!』 『コオオオオオ!!』 自問自答するような呟きに応えるように三つの咆哮が響いてくる。 クリーチャーの位置を指し示す戦塵の数からもクリーチャーが三体侵入してきていることが窺えた。 既にかなり遠ざかってしまっている咲の背中は優斗達から見て正面に上がる戦塵に向かっている。 残る戦塵は左右に大きく離れていた。 本来クリーチャー戦とは百戦錬磨の魔装士であっても徒党を組んで戦うもの。
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