第三章 メラル

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現在進行形で触手に貫かれていく人達の無惨な姿に堪えきれなかったはずの吐き気も含めて、殺意を除く全てが消えていく。 歩いて間合いを詰めていく優斗の手には漆黒の魔装刀が既に握られていた。 「終わりにするんだ。今なら分かる、コレはその為の力だ。魔装を解明する為に人体実験だと?ふざけるな。テメエもだよ化け物。人間の命で遊んでんじゃねぇ」 大声で怒鳴り散らさないところが逆に優斗の怒りが如何に凄まじいものかということを物語っている。 クリーチャーでさえ一人の人間から溢れ出す異質なプレッシャーに気付いた。 『ウイ、ウイ、ウイイイイイ!!!!!!』 「遅え」 気付けばボタッ、ボタッと切断された触手が優斗の足下でミミズのようにのたくっていた。 一瞬の攻防で優斗をただの人間ではないと認識したクリーチャーも本気で優斗を殺しにかかりにくる。 触手の矛先は今や全て優斗に向けられていた。 上下左右、あらゆる角度から迫りくる触手は優斗を貫かんとする寸前でドバッと液体を放出する。 触れれば肉どころか骨をも溶かす溶解液の包囲網に優斗は一切慌てる素振りすら見せない。
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