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そして一閃する。
触手も溶解液も全て消し飛ばしてしまうほどの巨大な刀を振り抜いた優斗は無傷であり服を溶かされた形跡すら残っていない。
レベル以上の領域に無意識の内に彼はまた入っていた。
「それがお前の奥の手か?」
攻撃手段を全て触手に頼っていたクリーチャーに表情というものがあるとするならばそれは絶望という他ないだろう。
背を向けて逃走を始めたクリーチャーに優斗は告げた。
「それが恐怖だ。そしてこれから訪れるのが死だ」
数十メートルに伸長した刃を振り下ろす。
その一撃はまるで蒸発してしまったかのようにクリーチャーの存在をこの世から抹消する。
勝利の余韻に浸ることもなく、周囲を見渡した優斗は素早い指示を自然と出していた。
「動ける人は全員怪我人の救護に回ってください!!急げば助けられる!!」
「兄ちゃんはどうすんだ?」
喋りかけてきた恰幅のいい中年男性に優斗はさも当然のことと言わんばかりに答えていた。
「俺はこの戦いを終わらせに行くだけです」
何かを犠牲にしなければもぎ取れない勝利など意味はない。
そんなもの空しいだけだ。
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