第三章 メラル

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今あるものを守れるならばそれでいい。 だがその考えには矛盾が生じていることに優斗は気付いていない。 犠牲という範疇の中にたった一つ自分の命だけは含まれていないということに。 禁断の力に手を染めて、己の命を削りながら、優斗は次なる戦場を目指して走り出す。 2 雷のような魔装を全身に纏ったライラは恐るべき速さでクリーチャーの元へ近付いていた。 右を選んだのはそちらの方角から侵入してきたクリーチャーがキメラクラスだと確信していたからだ。 フェメラルクラスにはあの胃に響くような重たい咆哮は出せない。 とはいえフェメラルクラスには発声期間すら備わっていないものも多い為三匹ともキメラクラスだという可能性は大いにあるのだが。 そして魔装で加速したライラは道すがら咲に追い付き短いやり取りも交わしていた。 何とか中央で持ちこたえてくださいと。 それに対して咲は分かったと一言のみ返した。 咲とも別れて、走りながらライラはずっと考えていた。 本音を言えば一人になんてなりたくない。 今から戦う相手がキメラクラスだと確信しているのなら尚更だ。
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