第三章 メラル

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本当は死にたくない一心で己を磨いていただけの結果がたまたまオーバーアシスト稼働指数最年少記録を更新してしまったなど口が避けても言えなかった。 クリーチャーと戦うことを宿命付けられた重圧に加えて、同志であるはずの魔装士からも期待を寄せられ、さらに泥沼にはまっていく。 いつしかはまった底無し沼からもがくことすら止めてしまったライラを優斗は分け隔てなく手を差しのべ引っ張りあげてくれた。 彼が何よりも怖れているのは死ぬことではない。 目の前で誰かが死ぬことだ。 恐怖を恐怖で克服している。 だから優斗は強い。 そしてライラは確実にその影響を受けてきているのはこうしてクリーチャーと一人で激突しようとしていることからも明らかだ。 そのライラは既にクリーチャーの姿を視界に収めていた。 敵は、 (予想が外れた。ただのキメラクラスじゃない……こいつはキュクロープス!?) ギリシア神話に登場する単眼の巨人を彷彿とさせる怪物がそこにいた。 キュクロープスは二本の腕で家を引っこ抜くとライラ目掛けてソレをぶん投げる。 避けることは容易かったが問題はそういうことではない。
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