503人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
『グオオオオオ!!』
それは苦痛に呻く声ではなく、苛立ちが爆発したことによる怒声。
ライラ自身、今の攻撃が効いているとは思っていなかった。
そもそも彼女の狙いは初めから違うところにある。
一見完全無欠に思われるクリーチャーにも脆い部分は存在する。
それは眼球だ。
眼球を潰した程度でクリーチャーを倒すことはできないが、その後の戦闘を優位に進められることはできる。
問題はライラの上背とリーチでは巨人の眼球には攻撃が届きそうにないということ。
勿論跳躍すれば話は別だが、それでは一か八かの賭けになってしまう。
いくらライラの魔装でも空中では身動きが取れない。
必要な隙を作り出すべくライラは最高速を維持し続けて相手を撹乱する。
その動きにまるで付いていけないキュクロープスはやたら滅多に腕を振り回すが、ラッキーパンチすら生まれない。
その間にライラの打撃は面白いようにヒットした。
いつか体勢を崩したところに必殺の一撃を叩き込むその時まで辛抱する時間が続く。
ライラが参戦するまでキュクロープスと戦っていた掃き溜めの街の男達はただただ呆気に取られていた。
最初のコメントを投稿しよう！