第三章 メラル

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「この先に生命反応を感知した。数は五百ってところだな」 (チッ。聞き取り辛えな。フルフェイス取れよ面倒臭え。ていうか被ってる意味も分からねぇ) 声に出さないのにはそれなりの理由がある。 口に出してこちらまで喧嘩になると面倒だからだ。 「少ないですね」 「案外地底人やったりするかもしれへんで」 静かにと必要最低限の言葉を発してタクトが会話に加わる。 合図を送ってその光景を見るように促すと騒いでいた面々の顔つきが真剣なものへと変わっていく。 そこにいたのは単眼の巨人相手に孤軍奮闘する少女の姿があった。 歳の頃はタクト達と同じぐらいだろう。 「……貧乳だな」 「アホか!!どんだけ小さくてもそこには男の手に納まらんくらいたくさんの夢が詰まっとるんや!!」 ここ最近で一番のキレッぷりでナナシに噛みつく薫にユリが軽蔑と諦めが入り混じった視線を向けていた。 ちなみにユリは貧乳でも巨乳という訳でもないほどよい感じに成長している。 「最低ね。池神君から何とか言ってやって。悪いのだけれど私はあのテンションに付いていけなさそうだわ。ていうか混ざりたくもない」
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