第三章 メラル

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それどころか逆ギレされ始める始末だ。 「あー、もううるさい。いつも面倒臭いとか言って何も手伝おうとしない池神君にそんなこと言われたくありません」 ぐうの音も出ない正論にさすがのタクトも黙らざるを得ない。 「まぁまぁ。そない心配する必要もあらへんやろ。強いであの子。この調子やったら間違いなくあの子が勝つわ」 確かに薫の言う通りだろうとタクトも思う。 光を全身に纏った少女の動きは人間の限界を越えている。 常識を覆す瞬発力はタクトの動体視力を持ってしても捉えるのが困難だ。 とっくにその動きを目で追うことを諦めていたナナシの舌打ちが聞こえてくる。 「チッ。調子が悪いな。あの光、ジャミング効果でもあんのか?」 「ただの目眩ましではなさそうですね。あの光は単純に運動能力をアシストしているのでしょうか?」 それぞれが推察を述べる中、タクトだけが異変に気付いていた。 (スピードが落ちてきてるのか?確かにあのスピードを維持するのはキツいと思うが……それに上手く隠しちゃいるが左腕を庇いながら戦ってるな……まさか使えないのか?) それは唐突だった。
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