第三章 メラル

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いち早く気付いたのはここでの付き合いなら優斗よりもずっと長い住民達だった。 「やべえ!!咲の炎刑(えんけい)だ!!」 「巻き込まれるぞ!!」 「とにかく離れろ!!」 とっくに退避していた男達の言葉は自分達へではなく今まさにクリーチャーと戦っている優斗とライラに向けられていた。 その騒ぎに気を取られた優斗が敵から視線を外してしまう。 チッと舌打ちしつつ、一気に加速した咲は優斗の頭を土台にして宙へと身を踊らして右腕を一閃する。 斬ったというより打撃に近かった。 クリーチャーを空から叩き落とした咲が服の中から取り出したのは小型爆弾。 それを何の躊躇もなくばらまく。 連鎖的に巻き起こる爆発を無表情のまま眺める咲に対して男達の怒号が飛んでくる。 「ざっけんなテメェ!!」 「やるなら外でやれ外で!!」 「街中火の海にするつもりか!?」 「それでも俺は咲たんの味方!!」 「あっ、汚ねぇ!!」 ほんの少しだけ本気であの連中に爆弾を投げ込むか咲が迷っていると優斗とライラが側に寄ってきた。 「……変わった武器を使いますね。材質はクリーチャーの骨ですか?」
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