第三章 メラル

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「よく分かったな。とあるキメラの骨を加工した刀だ。私は炎刑と呼んでいる」 「ていうか俺の頭を踏みつけて行く必要はなかったよね!?」 「よく言うだろ?俺の屍を越えていけと」 「その台詞は越えられていく側が言うからカッコよく聞こえるものだからな。あとそもそも俺死んでないから」 「優斗もツッコミができるような歳になったのだな……あぁ、やはりこの程度ではあのクラスは殺せんか」 しみじみと弟の成長を噛み締めていた咲は心底鬱陶しそうに飛び出してきたクリーチャーを睥睨する。 真っ先に動いたのは優斗。 火花を散らしながら爪と刃を打ち合っているが、空を自由に飛び回る相手に攻めあぐねている。 「隙を作ってさえくれれば後は私が仕留めます」 それは言外に隙を作れというお願いだったのか、命令だったのか、ライラと付き合いの短い咲には判断しかねるところだった。 しかし仕留めると言い切ってしまう彼女には少なからず好感のようなものは抱いている。 (これが魔装士の戦い方か) 掃き溜めの街の住民は普通に暮らしている人達に比べればそれなりの場数を踏んできている猛者ばかりだ。
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