第三章 メラル

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その者達が自重していた理由はこうして客観的な立場に立って観察しているとよく分かった。 魔装士の戦いとはまるでバトル漫画をアニメ化した時のような躍動感や迫力みたいなものがある。 (しかしアレで優斗と同い年とは……末恐ろしい才能だな) ライラは危なげなくクリーチャーの攻撃を掻い潜り、痛烈な打撃を叩き込んで牽制しながら、さらに優斗だけでなく今のところ傍観しているだけの咲にも気を配っている。 とてもではないが15、6の少女とは思えない。 恐らく咲がタイミングを計ったりしてないでもライラの方がこちらに合わせてくれるのだろうとは思う。 その技量に甘えても良かったのだが、残念ながら優斗に同じことを期待するのは酷というものだ。 ジリッ、ジリッと間合いを詰め、咲が飛び出したのは優斗とクリーチャーが離れた瞬間。 左手にはこっそり取り出していた伸縮警棒のようなものが握られていた。 それをフェンシングのような構えで突き出す。 クリーチャーの脇腹に吸い込まれるようにヒットした警棒から凄まじい電流が流れ込み硬直を強いる。 合図は不要だった。
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