第三章 メラル

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「さっき一発撃ってるもの。単純に魔力不足ね。そういうあなたこそ動きにムラがあるわよ。タイミングが計りづらい」 表には出さないものの内心ではあれで全力ではないのかと驚いていた。 また曖昧に笑って誤魔化そうしている優斗の動きが不自然なことにも咲は気付いていた。 どこか自分の体を制御できていないかなような印象を受ける。 急に加速したかと思えば次の瞬間には失速している、ライラの言うタイミングが取りづらいというのはその下手な緩急のことを言っているのだろう。 (何らかの戦闘スキルなのだろうが、まだ実戦で使えるレベルではないということか) チラッと右手に視線をやると、炎刑からは黒煙が立ち昇り始めていた。 「今回は二人のおかげで随分楽に時間が稼げたな。お前達は休んでいていい。後は私がやる」 眉をひそめる二人を置き去りにして咲が走り出すとほぼ同時に爆炎の中から再起動してきたクリーチャーが飛び出す。 さすがにその体には無数の裂傷が走っているものの、五体満足で元の原形を留めているあたり、このクリーチャーがキメラクラスの中でも上位に位置していることを物語っている。
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